☆遥か彼方を目指して!☆(富士1000km単独走破の記録)

◆プロローグ
ボクが若かりし頃、KP47で鈴鹿1000kmのTS-1クラスにプライベート参戦した時、レース序盤にエンジントラブルに見舞われフルに走れないままの走行を余儀無くされそれでも完走を目指して走り続けた事がありました。
その時熱地獄の車内で悔しさに唇を噛み締めながら考えたこと・・・
完全なマシンで思い切り走りたい!!!
1000kmぐらいスプリント20回や、一人で走りきったるわ~!
その時の事が今回のチャレンジの原点にあったのだと思います。
2月にセパン24時間を走った時点でレース資金は底を尽き、富士1000kmのエントリーが始まった6月になってもまだセパンの借金払いをしている有様で123号車のバージョンアップなど全く不可能な状態でした。
出場を諦めるかそれとも最低限の予算で無理ムリでも参加するかの決断にはそれほど時間はかかりませんでした。
その判断の決め手になったのが今回の1000kmソロドライブなのです。
ボク一人で走るのならマシンもこのままでも壊さずに走れるし全ての経費が一人分で済むし、仮に参加が厳しい状態になっても誰にも迷惑を掛けずに済みます。
それより何より耐久レースのロングドライブ記録を作りたい!!!
あとはボクがホントに最後まで走れるのか・・・
それ以前にK4-GP事務局が真夏の危険なソロドライブを認めてくれるのか?
一つ間違えば自分の身体の心配だけではなく皆に迷惑を掛けてしまう・・・
これに関しては最後までずっと危惧し続けていました。
レース事務局に相談しても絶対に許してもらえないと思っていたので合同練習に一人で参加したり、ドライバー申請をボクだけの名前で提出したりしてオレ一人で走るかもアピールをしながら最後までナイショにしていました。
事務局の皆さんには本当に申し訳なかったです、そして本当にありがとうございました。
もし許してもらえなかったらこの記録は在り得ませんでしたから・・・

◆フィジカルトレーニング
いざやると決まった限りは達成しないと何の意味もありません。
まず暑さに慣れるためレースが終わるまで部屋も事務所もクルマもエアコン禁止にしました。
そして今年2月から続けている登山トレーニング、レースまでに3回登坂する機会がありました。
そして水をたくさん飲む事。
1日最低2リッターは飲むようにしていました。
あとはK4-GPの合同練習に参加する時、行き約400km・練習走行1時間約100km・帰り約400kmを休憩なしで走行する。
身体的なトレーニングとしてはこれぐらいでしたが、今年の夏はかなり暑かったので厳しかったです。

◆クーリングシステム
クルマの準備はまず給水システムが生命線となるので最優先で考えました。
ピットに戻る気は無かったので最低でも5~6Lのスポーツドリンクを冷却して積んでおく必要がありました。
1ディレースならクーラーボックスに冷やしたペットボトルでも良かったのですが、前日に公式練習がありピットに冷蔵庫もないので電動式のクーラーを車載することにしました。
レーシングスピードで走るので車載用の取付ベースはシートレール並の強度で制作しました。
給水システムを電動にしたかったのですが時間が無く次回に見送り、今回はソースバガボンドを使いました。
イスラエル製のもともと軍用に開発された物で、トレラン等でもよく使われている優れ物でレース中もうまく機能しました。
冷水で身体を中からも冷やす、これが真夏の耐久でロングステイントを可能にする重要ポイントでした。
シートはニスモのGTクーリングシートをイメージして、転がっていたシルクロードのクーリングクッションを装着しました。
これが以外に効果があったのには後からビックリ!
クールスーツはアロンソも愛用のハイパークーリングベストを、これは仕方なく購入しましたがかなり効果がありました。
これも元は軍用に開発されたもののようです。
ヘルメットクーラーも自作しようと途中まで作ったのですが、結局間に合わず今後に持ち越しとなりました。
仕方ないので頭に上がる前に首で冷やそうとネッククールを5本用位、2時間毎に1本で交換できるようにしました。
これも効果絶大でした。
先にも述べたように今回は準備資金がほとんどありませんのであるもので何とかしようの発想が功を奏しました。

◆ドリンクとエネルギー補給
真夏の耐久で10時間走行しなければいけないのでドリンクもカロリーの高いポカリスエットのノーマルを選びました。
8時スタートの18時ゴールなので昼食も必要なので、ゼリー状の物と固形の物を用意しました。
ゼリー系はこれも一番カロリーの高い明治製菓のパーフェクトプラス即効元気と大塚製薬のカロリーメイトを使いました。
固形はカロリーメイトのバータイプは喉に詰まりそうだったので、パーフェクトプラスしっとりケーキバーを使いました。
パックに一口サイズが2個入っていて、その名の通りしっとりしていてノドにつまらず結構良かったです。

◆室内の熱対策
車体の熱対策はまずセンターパイプ全体にバンテージを巻き、マフラーの通るボデイ側全体にに断熱塗装を施しました。
これにより室内温度をかなり低下させることに成功しました。
天井にミラーのダイノックシートを貼ると室内温度を下げれる(スーパーGTとかでやっています)のですが、結局レースまでに施工することができませんでした。
123号車はエアコンを装着したままなので、どうしてもヤバイ時は使おうと思っていましたが、走行中は使用する事はありませんでした。
ただ給油待ちの時に使用したのはかなり効果的でした。

◆公開テスト
富士1000kmは合同練習が2回用意されていて第一回が7月7日、第2回が7月27日でレースが8月13~14日なので本当にベストタイミングで組まれています。
この辺りもさすがレースをよく知っているK4-GPです。
合同練習の走行時間は約1時間21~2周100km弱、FSW往復の距離が800km弱です。
1回目の時は子紫電Rも来ていてその速さにビックリ!
2回目も本番さながらの台数が参加しており、充実した練習が出来ました。
先にも書きましたがこの2回の行き帰りも含めトレーニングなので練習走行で、やらなければいけない事も沢山あるのに本当に大変でした。でもその大変さが本当に良いトレーニングになったのだと思います。
特に2回目は夏風邪ひいて熱出してましたから、究極のメンタルトレーニングにもなったかも・・・

◆公式練習
富士1000kmの決勝は8月14日なのですが、13日には公式練習や車検があるので必ず
行かなければいけません。
更に13日のゲートオープンがAM3:00、受付も同時に開始されるんです。
いつもの如く前日夜遅くまで掛かってバタバタと用意をし、出発したのはすでに午前0時をかなり過ぎてからでした。
今回はソロドライブ以前にソロエントリーなので本当に大変でした。
まあこれもオマケの記録のうちですが・・・
あと59歳9ヶ月3日の年齢記録もかな?
実は体調も2回目の合同テスト前に体調を崩して、まだそれを引きずっている状態で最低なコンディションでした。
とりあえず行くしかないので気分も乗らないまま名阪→東名阪→伊勢湾岸→東名→新東名といつものルートで一路富士に向かいました。
受付は朝の3時過ぎから開始されていたようですが、ボクが到着したのは5時頃でした。
そそくさと受付を済ますと、吉川さん今日一人で走るんですか?大丈夫ですか?って聞かれてしまいました~
は~い!わかんないで~す!ってはぐらかせて急いでピットに向かったんですが、なんとピットがいっぱい!
しょうがないんで外ピットで走行の用意をやりだしました。
一人で参加とはいえ一応耐久レースなので荷物もたくさんあるし大変です。
まあ苦労には慣れているので「いつものことだわ!」って思いながら重要な給水システムやクーリングシステムの最終テストのため取り付け始めました。
走行は11時からだったので十分間に合いました。
この日は結構涼しかったので助かりました。
公式練習は1時間!
いつもは目イッパイ走るボクですが、今日は走行が始まっても慌てずゆっくりコースインしていろいろな部分をテストして30分ぐらいで切り上げました。
その後はぼんぼんベッドでしばし爆睡!!!
すっきりしたところで大会本部に行き、空いているピットを探してもらいました。
うまい具合にトラブルでリタイヤしたチームの空きがあり、そこに入れて頂きました。
ありがとうございました。
おかげでこの夜ゆっくり寝る事ができて、これも無事完走できた大きな要因となりました。

◆1000kmの朝
ピットを変更してもらったおかげでピットルームでぐっすり眠れ、目が覚めた時に何故かいけそうな感じがしました。
K4-GPの朝は早く午前5時には動き出さないと間に合いません。
そそくさと直前にしか出来ないドリンクやフードの用意や車載カメラのセットなどをし始めます。
ドリンクはクーラーのサイズに合わせた900ccを6本搭載、うち2本はチューブを付けて設置しました。
1時間に450cc、チューブなので完全に飲めない分の予備に1本の計算です。
ジェルとバーの食料も数個搭載しました。
6時からはチームのリーダーミーティングが始まります。
じつはこの日のボクはドライバーという意識が強すぎたのか、うっかりリーダーミーティングをブッチしてしまいました。
ミーティングに出席していないと本当はペナルティーなんですが、何故かこの日はスルーして頂きました。
ありがとうございます!
これまでK4-GPは3レース連続ノーペナルティーだったので、今日もノーペナルティで終われるように頑張ります。
まずは十分な給水とゼリー状の朝食をしっかりと取り、コースイン10分前にトイレに行きました。
7時からコースインが始まり、グリッド整列が終わったらコース上でブリーフィングが行なわれます。
ボクはソロエントリーだったので変則ルマン式スタートの走者がいません。
1969年のルマンのイクスを真似て歩いて乗って最後尾からスタートするつもりだったのですが、ドライバーが走るのは危険なのでスタッフの方が走って頂けるようにご配慮して頂きました。
本当に色々ご迷惑をお掛けしてすいませんでした。
そしていよいよスタートの時間、午前8時が迫ってきました。

◆富士1000kmスタート
スタート5分前・・・
すでにマシンに乗り込み、シートベルトもしっかり締めて準備は完了。
走者のスタッフの女性もスタート位置に控えてくれています。
すごく静かです。
これから長い戦いが始まると思うと気が重かったり・・・
万感のおもいとはこういう事なのかなって思ったり・・・
そんな事を思っているうちに走者がマシンに走り寄り、フロントガラスに貼られたシールを剥がすとスタートです。
落ち着いて前のマシンに付け1周のローリング。
スタート後の1周は追い越しやウエイビング等のタイヤを暖める行為は一切禁止されていますので、スローで静かなローリングです。
1コーナー・コカコーラ・100R・ヘアピン・300Rとスローなローリングが続き、ダンロップ手前では止まりそう・・・
ボクのマシンはGP-2クラスで、スーパーGTで言うならば300クラスかな?
でも参加台数の半分以上を占めています。
ローリングは2つに分かれていてRクラスやGP-3のトップグループはもうコントロールラインを超えているでしょう。
ダンロップをスローで抜け13コーナー手前を登っているとだんだんスピードが上がり始め、プリウスをすぎる頃にはもうレーススピードに・・・
最終を抜けるとグリーンランプが確認できました。
いよいよボクの1000kmの始まりです。

◆ノッケから4Hのロングステイント
ボクのマシンは最後尾付近だったのでスタート直後は前後ともにスキスキで走れたのですが、しばらくすると子紫電あ~るを先頭にトップグループが迫ってきました。
「もうラップ落ちかよ~!]」って思っていたら前からも脱落組が迫ってきて速いマシンはパスさせないといけないし、遅いクルマはパスしていかないといけないしえらいことに・・・
遅い車が何台かいると10台以上が団子状態になり、かなりデンジャラスな展開になってきました。
セーフテイパスをさせるそしてするには、どうしても回転を上げざるを得なくなりガソリンも結構ロスしてしまいました。
去年の1000kmとセパン24hの経験から今回は左側の死角にミラーを追加していたので非常に助かりました。
今回はソロドライブなので、すべてのステイントを1人で走らなくてはいけません。
スタートからの最初のステイントを満タン36Lを使いきって4時間のロング走行でクリアする作戦です。
2分50秒後半まで落としてラップないと12km/Lの燃費が出ません。
少しクリアになったところですぐに燃費運転に切り替えます。
先はまだまだ長い・・・
少し落ち着いたところで最初の水分補給をストレート走行中何回かに分けておこないました。
未知数の事が多々浮かんできて最初の1時間はすごく長く感じました。
2時間目に入ったあたりから全体のペースがかなり落ちてきました。
まだレースは始まったばかり、やっとみんな我に返って先を見始めたのでしょう。
ボクと123号車は2分40秒代後半のペースを維持して眈々と走り続けます。
ここでも忘れずに水分補給・・・
ソース・バガボンドを使った給水システムも使い慣れてきました。
3時間目に入った午前11時過ぎぐらいになると、やはり暑い!!!
とりあえず空調ファンを4段目に・・・
何とか少し凌げるが、これからどんどん気温も上がるので、何とか対策を考えないとまずい事になりそうだ。
ふと燃料計を見るとガソリン消費量が思っていたよりも多い!
このままだと4時間連続走行は辛い。
せっかく良いペースで走れていたのに残念ですが、燃費を優先しないと完走も覚束なくなります。
今回はチャレンジする目的が違うので、我慢してペースダウンする他ありましぇ~ん。
それでも最低限のロスに抑えるため速いマシンにはパスさせつつも場所とラインは考えつつ、同じぐらいのペースのマシンは隙を突いて抜き、遅いマシンはロスなくかわすという超高度なテクニックを駆使して何とか時間を引き伸ばしにかかりました。
しかし3時間45分過ぎ、ついに燃料計が点滅!
まあ暑くて疲労も結構きていたので、躊躇なく燃料補給に入りました。
しかしこれがちょうど良かったのか悪かったのか、給油所は大渋滞中・・・
K4-GPはピットで給油するのではなく、安全のためパドックの給油所で順に補給する慣わしなのである。

◆ステイント2(4時間~5時間30分)
今回の富士1000kmでは、最低4回の給油が義務ずけられています。
これは燃料タンクが小さいマシンとのハンデを無くすためで、123号車はタンクに余裕があるので逆に不利な規定でもあります。
燃料計が点滅した途端に何の躊躇もなく給油に入りましたが、給油所は大渋滞中!
しまったと思ったがもう遅い、もう後ろに何台か並んでいるのでUターンもできない。
実は最終コーナーを立ち上がってからピットロード側にラインを変えてよく見れば給油所が見えるのを知っていたのだが、やはり疲労のせいなのかすっかり忘れていた~
今更焦っても仕方がないので待っている時間を有効に使うしかない!
まずはエアコン全開で涼む事に・・・
これが結構効いた!!!
超気持ちイイ~
次に冷えた給水ボトルをクーラーから取り出してソース・バガボンドをセットし、交換したボトルの残りを飲み干す。
次のステイントは2時間なので1本セットで大丈夫だ。
朝のスタート時点では使わなかったネッククーラーを首に巻く。
ファーストステイントの後半に車内温度がかなり上がったので、リアドアウインドウと助手席のウインドウは解放することにする。
しかしこれは後に失敗だった事が判明!
車内でバタバタとそんな作業をしているとスタッフの方が「大丈夫ですか? 脱水症状は自覚がないうちに進行するので気をつけてくださいね!」って声を掛けて下さいました。
そうこうしているうちに給油の順番が回ってきて無事完了!
給油ロードを規定の30km/hで走行しピットロードは60km/h、勇躍コースインしようとしたらコースインゲートでストップを食らってしまいました。
K4-GPはこのゲートでマシンとドライバーを確認している。
マシンサイドのゼッケンに貼られたバーコードとヘルメットに貼ったバーコード、そしてK4-GPライセンスでチェックされるのである。
ライセンスはK4-GP独特のクラッシュ時に腕の損傷を防ぐセイフティアームベルトと一体になったホルダーに入れなければならない。
走行中アームベルトのストッパーが緩んでライセンスホルダーがブラリンしているのは気が付いていたので、給油待ちの間になおせば良かったと反省するがもう遅い。
仕方なくペナルティーエリアに移動して再装着される事になり、この装着に結構時間を食ってしまったのだ~
給油待ちとライセンスホルダーの再装着で20分はロスしただろう・・・
残念だが仕方が無い。
気を取り直して走り始める。
車内温度を下げるために今回は運転席以外のウインドウを全てオープンにしたのだが、暑さは少しマシになったのですがあきらかにストレートスピードが落ちてしまいました。
まあ涼しくなったのはなったので良しとしよう・・・
ただゴウゴウと風の音がうるさい!
燃費も落ちているようなので、わかっていたことだがウインドウをあけると空気抵抗はかなり増えてしまったようだ。
ステイントの中盤ぐらいにいきなり右足が吊ってヤバかったが、水分補給しながら意識を他の事に向けるようにしていたらしばらくすると治まった。
無事スタートし初回の給油も済ませてので少し安心したのがいけなかったのだろう、もう一度気を引き締めなをして予定のタイムでラップを重ねる事に集中する。
ただマシンも自分の走りも絶好調だけは間違いなかった。
今回も前回同様やや早いタイミングで燃料計のランプが点滅し出した。
ウインドウを開けたせいで走行距離が伸びなかったようだ。
今回は最終コーナーの立ち上がりからラインを変えて意識して給油所をチェックしながらピットイン!
ピットロードの制限速度は60km/h、給油ロードに入るとさらに低速の30km/hに変わる。
スピードオーバーするとペナルティーを受けるうえに罰金もある。
60km/h制限がかかるところまでは全開で行き、制限ラインでフルブレーキング!
給油ロードに入る手前で更に減速して慎重に進むと今回は待ち無しで速攻給油に入れました。

◆ステイント3(5時間30分~7時間)
待ち無しで給油出来たのは良いのですが、給水ボトルの交換やネッククーラーを巻き直したり食糧補給などを給油中に済ませなければならず大忙し!!!
何故なら使える燃料は85L。
エッセのタンクは満タン36Lなので差し引くと49L。
4回以上の給油ピットインが義務付けられているので、123号車は13×3回と10Lを4回目に給油する作戦です。
今回は13Lなので給油もあっという間、スタッフの方にも話しかけて頂く暇もなしにピットロードに向かいます。
今回はすんなりコースインできたので給油のタイムロスは最低限にとどめられました。
とりあえずマシンは絶好調!
燃料がややショートしている以外は何の問題もありません。
危険はできる限り回避できるように走っているのは間違いないのですが、だいたい1~2時間に1回ぐらいのペースでヒヤッとすることがあるものです。
これほどまで何事もなく快調に走れているのが不思議です。
今回もセパンと同じ3神社のお守りを積んでいるのですが、しっかりと守って頂いているようです・・・
レースも半分以上が経過して完走に確信を持ち始めた矢先、身体に異常発生!
足が吊り始め、やがて手も吊り始めました。
足は両足の太腿で、特に左足が酷い!
長時間ドライブのトレーニングはしていたのだが、高速道路等ではクラッチをこんなに何度も踏むことは無い・・・
クラッチがちゃんと踏めていないのかミッションも入りもシブくなってくる。
特に1コーナーが辛い!!!
手は腕ではなく指が吊ってきた、それも5本とも左右ともだ~
高速をいくら長時間走っても、こんなに一生懸命握っていることなんてまず無いから・・・
微妙なコントロールには指先の感触が重要だということがありありとわかる。
ドライビングには握力だけではなく指力も必要なのだ。
さあどうする???
とりあえず水分補給をしながらなるべくリラックスして身体のチカラを抜くようにする。
タコの如く・タコの如く・タコの如く・・・と念ずる!
十数周ぐらいは悶絶していたような気がします。
そうこうしていると燃料警告ランプが点滅しているのに気がつきました。
今回はゴングに救われたボクサーのごとく、なだれ込むようにピットロードへ・・・
やや待ちの給油でしたが、身体を休められたことは大きかったです。

◆ステイント4(7時間30分~8時間30分)
給油待ちで暫しの休息を得て身体を冷やしたのが良かったのか、身体は正常に戻ったようでまた快調にラップを積んで行きます。
ここまでくるとやはりトラブルやクラッシュが多く見受けられるようになってきました。
オイルに乗ったような滑り方が何回かあったものの、間近でのスピンやクラッシュに巻き込まれることもここまで1度も無くまさに快調そのもの・・・
更にみんな燃料の残量を気にし出してペースダウンするチームも多く、今まで追いつかなかったクルマもついていけたりややもするとパスすることが出来たりするようになりました。
今がチャンスと一気にペースアップ!
ストレートはスリップを使いながら燃料の消費を減らしコーナーでパスしていく作戦です。
ただ富士1000kmの走行規定の中にラストの1時間、9時間目以降は給油が出来ないというルールがあります。
最低4回以上の給油の最終回を近いうちに済まさないと失格になってしまいます。
ギリギリになっても給油所が混み合う可能性があるので早めにピットインする事にしました。
同じぐらいのペースのマシンのスリップを使って極力燃料消費を減らしていたのを1コーナーを過ぎてコカコーラまでの間で交し一気にペースアップして引き離し2セクターを通過した頃にルームミラーで確認するとかすかに見えるぐらいに小さくなっている。
第3セクターも一気に通過してF1のようにピットイン!(笑)
今回も少ないのを確認した次の周にピットインしたので1台待ちでその給油もすぐに済んだのでほとんど待ち無しでピットアウト。

◆ゴールを目指して!(8時間30分~チェッカー)
最後の給油を済ませてコースイン・・・
すると先ほど引き離してピットインしたマシンがストレートを走ってくるのが見える。
給油ピットインを3分30秒ぐらいで済ませたのかもしれないとおもうと、何となく良い気分で最終ステイントにはいれました。
しかしこのあとすぐにセーフティカーが入ることに・・・
ダンロップコーナー立ち上がりでスピンしたマシンがコースのど真ん中で立ち往生したまま動けなくなっていました。
たぶん駆動系のトラブルでスピンしたのでしょうか?
結構長いセーフティランが続きました。
燃料消費も抑えられるし身体を休められるので良かったのですが、できればこの時に燃料給油ができればベストでしたね!
少し早まったかなと思いましたが、100%のレースなんてあり得ませんから燃費と身体を考えて良かったと思って周回を重ねます。
やがてセーフテイランがあけると同時に最後の激戦が始まりました。
燃費が助かったのは他のチームも一緒ですから、一気にペースを上げてきたのです。
123号車はもともとペースの遅い車なのでこれにはついていけない上に、セーフティランで身体が鈍ったのかドライビングもうまくいきません!
完走間近になった上に疲労もかなり来ているので気持ちが弱気になって攻めることが出来なくなってしまったようです。
何度もレースを走ってきてこんな気持ちになったのは初めての経験でした。
やはり1000kmをソロでチャレンジするという事は並大抵ではない事をおもい知った瞬間でもありました。
もう一度気を取り直し、走る前にこんな風になった時にこうしようと思っていたことを頭に浮かべました。
それは今までの悔しかったことを順番に思い出すことでした。
チキショウ!
この野郎!
何でやねん!
アホか~!
いろいろ思い浮かべているうちに気持ちも強くペースも元に・・・
イヤ、もと以上のペースに戻っていました!
これが良かったのか悪かったのかわかりませんが、ここで最後の最大のミスを犯してしまいます。
それは昔に染み付いた1000kmレースの走りしか頭になかったことです。
富士スピードウェイで1000km走るには約222周になります。
通常の1000kmレースはトップが1000km走った時点でチェッカーとなりますが、K4-GPは1000km走っても走らなくても10時間でチェッカーとなるのです。
自分ではわかっていたつもりだったのですが、魔が差すとはこういう事なのでしょう。
コントロールライン上の電光盤の周回数を見ながら222周がゴールだと思い燃料を使い切るつもりですでに燃料の警告ランプが点滅しているのに全開走行してしまったのです。
もう少しと思いながらやっと222周をすぎてゴールしたつもりが223周になっても224周になってもチャッカーが振られず、そこでやっと気がつきました・・・
「しまった、10時間キッチリ走らされるんだった~!」
結局最後は由良さんのところの子紫電あ~るが233周を走ってゴールとなり、ボクはというと最後の10周をいつ止まるかヒヤヒヤしながら全周5速キープで安全運転するしかありませんでした。
結局、でも、きっちり、200周!
でも、やっぱり、ちょっと少ない、913km・・・
またやってしまったって感じですが完走して目標を達成出来た喜びはやはり大きく、更に特別賞まで頂けて本当に良いレースができたと思います。
次はいったるで~!!!

◆あとがき
レースが終わってしばらくたった今冷静に振り返るとまだまだいけたような気がしますが、100%のレースなんてありえませんからボクの中では良くやったレースだったと思っています。
この1000kmの記録は2013モータースポーツジャパンフェスティバルに間に合うように急いで書いたので最後の方は走り書きになってしまいましたが、書ききれなかった事がまだまだたくさんありますのでまたおりを見て加筆していくつもりです。
前夜のチャンプ加藤氏とのおしゃべりや、同じピットになったあまちゃん美女軍団を乗っけてのパレードランなどネタはまだまだ満載ですから・・・
良かったら時々また読んで見てくださいね!